ドル/円相場は、91円台まで値位置を切り上げる展開になっている。1月21~22日の日本銀行・金融政策決定会合後は、短期的な円売り材料の出尽くし感から、ドル高・円安傾向に対する修正圧力が強まる場面もみられた。ただ23日の88.06円でボトムを確認し、その後は再びドル買い・円売りが優勢になっている。週間ベースでは11週連続のドル高・円安となっているが、これは少なくとも1971年以降では最長となる。
日銀金融政策決定会合であるが、「物価安定の目標」として消費者物価の前年比+2%が定められた。また、2014年からは期限を定めずに毎月一定額の金融資産を買い入れる方針の導入が決まっており、金融緩和は新たなステージに突入することになる。ただ、これらは事前に予想されていた範囲を脱するものではなく、短期的なドル買い・円売り材料の出尽くし感も広がった。もっとも、2月中には新日銀総裁を巡る人事も本格化する見通しであり、ドル/円相場のピークアウトは先送りされ易い。次期総裁の下では、過去の延長線上にはない大胆な緩和策が導入されるとの期待感が、ドル/円相場を一段と押し上げよう。
一方、1月29~30日には米連邦公開市場委員会(FOMC)の開催が控えている。前月に続いて量的緩和の停止や出口に関する協議も行われる見通しであり、タカ派意見が声明文にも反映されると、ドルサイドからドル高・円安傾向が加速する可能性もある。特に、足元で米金利上昇圧力が強くなっていることには注意が必要である。ただ、米債務上限問題がまだ先送りされている現状では、米金利の本格的な上昇を織り込むのは時期尚早とされる可能性が高いと考えている。まだ米金融緩和圧力を解消できる程に実体経済が回復しているのか疑問視しており、当面の日米金利環境に大きな変化は想定していない。引き続き、円サイド主導のドル高・円安がメインシナリオになる。
今後1週間の予想レンジは、89.75~92.50円。